第2回公開シンポジウムを開催しました!

令和6年6月12~13日にかけて本学術変革領域研究(A)主催の「第2回公開シンポジウム」を東北大学片平キャンパスさくらホールにおいて開催いたしました。初夏を感じさせる気候の中、当日は90名以上の参加者にお越しいただき、熱い議論が交わされ盛会となりました。

初日には全計画班員が口頭発表を行いました。菊地和也領域代表(阪大)による精密設計蛍光プローブ分子を用いるプロトンポンプ活性評価研究、吉田稔先生(理研)によるマルチモーダルな生物評価法の紹介、上田実先生(東北大)による天然物構造展開をベースとした分子糊の開発、荒井緑先生(慶應大)による新規天然物探索法と大村ライブラリーを用いる活性評価、榊原康文先生(慶應大)による深層学習を用いる化合物構造生成の現状と未来、大上雅史先生(東工大)による新規機械学習手法MMGXとドッキング計算などの領域内共同研究の紹介、鎌田真由美先生(北里大)によるマルチモーダルデータ活用のための情報基盤構築、大森建先生(東工大)による構造多様性を持つ天然物の合成展開を可能にする方法論開発、伊藤寛晃先生(東大)によるペプチド系天然物の構造多様性と活性デザインに関する成果、丹羽節先生(九大)によるルイス酸を用いる鈴木宮浦反応を利用した新規構造変換手法など、各計画班研究の現状に関する最新の成果と知見を発表して頂きました。初日のシンポジウム終了後の意見交換会には約60名の参加があり、積極的に情報交換が行われました。今回は、公募班員が参加する初めてのシンポジウムであったため、初対面の研究者も多く、参加者同士の交流、今後の共同研究推進のための情報交換と議論に大いに役立ったかと思います。シンポジウム2日目にあたる13日には、招待講演として、平間正博先生(東北大名誉教授)から天然物合成による構造展開とその生物学研究への展開についてお話をいただきました。エンジイン系抗生物質とポリエーテル天然毒に関する合成展開と構造多様性をフォローする合成戦略は多くの聴衆を魅了しました。また、ポスター発表では計画班、公募班、班友を含む計45件の発表があり、最新の研究成果について活発な議論が行われ、共同研究の打ち合わせを含むディスカッションが活溌に行われました。

本シンポジウムが「化合物潜在空間」という学問の確立に貢献できれば幸甚に存じます。最後になりましたが、招待講演者の先生方、本シンポジウム計画・運営をサポートいただいた事務局の皆様に感謝申し上げます。

(上田 実)

第2回公開シンポジウム プログラム (東北大学片平キャンパス 片平さくらホール)

2024年6月12日(水)
13:00~13:15開会
13:15~13:20A班紹介
13:20~13:35潜在空間を構成・検証する生物活性の時空間定量計測手法開発・応用菊地 和也(大阪大学大学院工学研究科)
13:35~13:50化学遺伝学の手法による化合物作用機序解明と化合物潜在空間構築のための化合物生物活性データ創出吉田 稔(理化学研究所 環境資源科学研究センター)
13:50~14:05化合物潜在空間のための天然物核内受容体リガンドライブラリーの構築上田 実(東北大学理学研究科)
14:05~14:20化合物潜在空間の深化に資する包括的活性評価と微生物由来天然物の拡充荒井 緑(慶應義塾大学理工学部)
14:20~14:50コーヒーブレイク
14:50~14:55B班紹介
14:55~15:10深層学習を用いた化合物潜在空間の構築および人工分子構造のデザイン榊原 康文(慶應義塾大学理工学部)
15:10~15:25bRO5化合物の潜在空間構築と応用のための情報科学大上 雅史(東京工業大学情報理工学院)
15:25~15:40マルチモーダルな生物活性情報の統合と活用に向けた情報基盤設計鎌田 真由美(北里大学未来工学部)
15:40~16:10コーヒーブレイク
16:10~16:15C班紹介
16:15~16:30新規合成化合物ライブラリーの創出とデザイン分子の迅速合成大森 建(東京工業大学理学院)
16:30~16:45異常アミノ酸含有天然物類縁体ライブラリー構築による化合物潜在空間探索伊藤 寛晃(東京大学薬学研究科)
16:45~17:00複雑分子の化学選択的改変による化合物資源の効率展開丹羽 節(九州大学大学院薬学研究院)
17:30~19:30意見交換会
2024年6月13日(木)
9:00~9:50ポスター発表(前半)
9:50~10:40ポスター発表(後半)
10:50~11:50特別講演平間 正博(東北大学 名誉教授)
閉会